リレーコラム

2010.10.05

リレーコラム vol.1

平成19年12月に内閣府で「仕事と調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」が策定されて以来、さまざまな施策が推進されてきましたが、「ワーク・ライフ・バランス」という用語に対する認知は、どの程度進んだのでしょうか。

愛媛県が平成21年に実施した調査によりますと、「よく知っている」と回答した方はわずか1.9%で、「知っている」は11.2%、「言葉くらいは聞いたことがある」23.5%でした(「男女共同参画に関する世論調査」平成21年度 愛媛県県民環境部管理局男女共同参画課)。

一方、「知らない」という回答は56.6%と過半数をわずかに超えていたようです。

「ワーク・ライフ・バランス、なにそれ?」という時期は脱したものの依然として認知度は低く、一層の周知が必要であるといえるでしょう。


先述の憲章において、「ワーク・ライフ・バランス」とは、「国民一人ひとりが、やりがいや充実感を感じながら働き、仕事上の責任を果たすとともに、家庭や地域生活などにおいても、子育て期、中高年期といった人生の各段階に応じた多様な生き方の選択が実現できること」と定義されています。

「ワーク・ライフ・バランス」の支援は、女性や子育て期の女性だけを対象としたものではなく、すべての社員を対象としたものです。

すべての社員が、仕事以外でやりたいこと、やらなくてはならないことをやりながら、かつ仕事にも意欲的に取り組むことができ、限られた時間内で効率的に成果を上げることができるような環境を整備することなのです。

また、望ましい「ワーク・ライフ・バランス」というものがあるわけではありません。

人それぞれに望ましい「ワーク・ライフ・バランス」は異なります。キャリアのある段階においては、仕事に没頭し、結果として労働時間が長くなる時期もあるでしょう。さまざまなライフスタイルを実現できるような選択肢を用意することが「ワーク・ライフ・バランス」支援ということです。

「ワーク・ライフ・バランス」支援を推進することは、仕事の進め方や成果の出し方を見直すチャンスとなるはずです。

一人ひとりの豊かな働き方と生き方を尊重し、社員が仕事に対して意欲的に取り組むことができるような環境を整備することは、優秀な人材の確保や生産性の向上をもたらし、企業にとっても新たな経営戦略となるでしょう。

執筆者 : 松山東雲短期大学教授 桐木陽子先生