2011.04.01
リレーコラム vol.6
【母と私のワークライフバランス】
「愛ちゃん家、お父さんしかいないの?」と小学生の頃、時々言われました。
私の母は看護師で日勤や夜勤はもちろん、私が中学生の頃からはキャリアアップして婦長・管理者としてのポストになり土日も昼夜も問わずに仕事をしていました。そんな母に代わり、父と祖父母が私と姉の面倒を見てくれていました。
朝早く、夜も遅い(もしくは、いない)母は、洗濯と料理。父は毎朝の私と姉のご飯を準備し、送り迎えや学校行事などに来てくれていました。
冒頭の言葉は、毎回学校行事や遊んでいる時に父しか出てこないと思った友達がふと言った言葉です。最初は気にしていなかったんですが、言われると急に自覚してしまい、母が自分に対して時間を割いてくれていないことへの不安が強くなりました。
夜勤に行く前に少し仮眠を取ってから行く母の横で、友達の誘いを断って1人で遊び、起き抜けの機嫌の悪い母に「いってらっしゃい」と声をかける。でも余裕がなかったりすると、返事は返ってこないまま行ってしまう。いつでも話を聞いてくれる父とは違って、忙しそうな母に「私のことを何にも知らないくせに!」と言ってしまったり。
進路に迷った時にも、母から「看護師になれば?」と言われましたが、「自分の子どもにも時間を割けないような仕事は嫌だ」と言った記憶もあります。
そんな私も春には社会人3年目。
小さい頃には愛情を受けようと必死だった私も、一人で暮らし、働いてみて初めて母の気持ちが理解できつつあります。
愛情がないわけではなく家庭も仕事も大事ながら、時間が有限であること。その中でも姉と私に、自分が叶わなかった勉強や遊ぶ機会を作るために働いてくれていたこと。
まだまだ自分のことだけ考えて働けている今の環境で、当時の母の気持ちを思うと、改めて感謝することばかりです。
私の働き方、生き方はなんだかんだ母に似てきているような気も。
小さい頃は嫌だった母のワークライフスタイルも、今、無意識に似てきている自分にほっとしている部分もあります。私は母に感謝できる気持ちを持てたので、自分も将来、そう思ってもらえるような母親・女性になりたいと思っています。
<筆者紹介>
*竹下愛さん
1984年香川県生まれ。2008年に愛媛大学法文学部卒
学生時代にジョブカフェ愛workでユースコーディネーターとして
企業取材などを担当
大学卒業後、大学時代から関っていたNPO法人Eyesに
インターンシップコーディネーターとして参画。
(NPO法人Eyes:http://npoeyes.net/)