2012.07.12
リレーコラム vol.11
2012年7月12日 木曜日
ワークライフバランスの入口の一つである、女性の問題について書いていただきました。
ワーク・ライフ・バランス―次の世代に向けて
教員という職業柄、迎え入れては社会に送り出す学生たちとの年齢差は広がるばかりで、学生の姉、から、今では母親くらいの齢になりました。
私の学生時代と言えば、東京のいくつかの大学の女性問題研究会がフェミニストグループと名称を変えた頃です。私自身も「性差別は自分たちの孫の世代くらいには解消し、こんな思いをしない社会にしたい」などと熱く語り活動をしておりました。幼少期から疑問に感じていた性差別について学んだことは、現在の自分の基盤になっていると思います。また、卒業時には均等法も育休法も成立しておらず、地方出身の女子学生が東京で就職することはなかなか厳しい時代でした。私自身は将来設計を考えるとき、専業主婦だった母親を反面教師にして、仕事をもつことをまず第1の目標にしていました。
そんな30年も前の学生時代など、学生からは「先生の頃は大変だった」とみられることが多いようです。なにしろ性差別と言われても、ピンとこないし、レディースデーなどがあるので、むしろ女性は得をしているという学生も男女とも少なくないのです。女子学生と接する機会が多いのですが、就活で職種の選択に思いきり悩む姿の一方で、仕事をもつこと、もち続けることや働くことそのものについてはあまり考えずにきているのかと思うこともしばしばです。
子どもを保育所に連れて行き、こんなにたくさんの働く親の仲間入りをしたと感慨深かった日のこと。仕事と子育て、保護者会の活動、地域での活動のこと。私は、きちんと伝えてこれたのだろうかと最近あらためて思います。自分もまだまだ走りながらではありますが、次の世代へのバトンが一層気になり始めたということかもしれません。
<筆者紹介>
*金子省子(かねこせいこ)
愛媛大学教育学部教授。専門は保育学。